COLUMN
AI電話自動応答とは?
仕組み・導入メリットと自治体での活用方法
電話をかけるとAIが応答し、用件を話すだけで案内や担当課への取次ぎまで進む。そんな「AI電話自動応答」を、実証や試験運用の形で取り入れる自治体が出てきました。
ただ、事業者の説明だけでは、AIがどこでつまずくのか、効果を何で測ればよいのかまでは見えにくいものです。本記事では、自治体が公表した実証の報告書や報道発表の言葉をもとに、AI電話自動応答の仕組みを4つの工程に分けてご説明します。そのうえで、導入メリットと効果の測り方、先行する団体の使い方、住民が戸惑わないための運用ルール、導入前に庁内で整えることを順にお伝えします。
1. 結論:AI電話自動応答は「話すだけ」で聞き取り・理解し、答えるか担当へつなぐ仕組み
AI電話自動応答とは、かけてきた人が番号を押さずに用件を話すだけで、AIが内容を聞き取って理解し、案内するか担当者へつなぐ電話の仕組みです。仕組みは「聞き取る・理解する・答える・つなぐ」の4つの工程でできていて、つまずきやすい場所も工程ごとに決まっています。自治体では、代表電話の担当課への取次ぎと、開庁時間外の案内の2つの使い方で先行事例が出ています。
時間外の利用がどのくらいあるかを示す数字を、1つだけ挙げます。広島県三次市がごみ分別案内の音声AIを実証した2026年(令和8年)7月の1か月間、着信394件のうち、平日8時30分〜17時15分以外(休日・夜間・早朝)の利用が212件(53.8%)でした(三次市「ごみ分別案内Voice AI 実証実験結果報告書」令和8年8月)。これは1つの窓口・1か月の実証値で、どの自治体にも当てはまる割合ではありません。
電話をかけた人の側から見ると、4つの工程は次のように体験されます。
| 工程 | かけた人が体験すること |
|---|---|
| 聞き取る | 合図のあとに用件を普段の言葉で話す |
| 理解する | AIが用件を確認して聞き返すことがある |
| 答える | 案内が音声で返ってくる |
| つなぐ | 担当課や職員に転送される、または折り返し・かけ直しの案内を受ける |
各工程でAIが何をしているのか、どこでつまずくのかは、3章で詳しくご説明します。
2. AI電話自動応答とは?番号を押すIVRとの違いと2つの方式
AI電話自動応答は、資料によって「音声AI」「AI電話」「AIオペレーター」など呼び方が異なります。ここでは、自治体の公表資料の言葉で範囲を確かめておきます。
三次市の報告書は、用語の説明で「音声AI(Voice AI)」を次のように書いています。
「電話で利用者の発話を認識し、音声で案内する仕組み」(三次市「ごみ分別案内Voice AI 実証実験結果報告書」p.11 用語)
福岡市は、2026年(令和8年)6月1日の報道発表で、「AI電話」のポイントを「ボタン操作不要、話すだけ」とし、「高齢の方やデジタルが苦手な方も、人と話すような普段の言葉遣いのままで問い合わせ」ができると説明しています。
番号を押して進む従来の自動音声応答(IVR)との違いは、入力が「番号」か「言葉」かの1点です。IVRは案内に従って番号を押して進み、AI電話自動応答は用件をそのまま話して進みます。総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>」第4版(2025年(令和7年)12月)も、大阪府守口市のごみ分別のAI電話について、事例のポイントに「従来型のチャットボットやボタンプッシュ式の応答と比べて、よりスムーズな応答が可能となる」と書いています(p.76)。
企業の受付電話で使うAI電話も、仕組みは同じです。企業で使う場合の人による対応との違いやメリットは、AI電話対応と電話代行(受電代行)の違い|人による対応が必要なケースとはでご紹介しています。本記事では、自治体での使い方を中心にお伝えします。
また、IVR・ボイスボットなど電話自動応答の種類ごとの比較と費用相場は、自治体の電話自動応答とは?5つの種類と費用相場・失敗しない選び方にまとめています。
2-1. AIが答えを「選ぶ」方式と「作る」方式
AIが答えを返す方式は、大きく2つに分かれます。
| 方式 | AIがしていること | 公表資料での例 |
|---|---|---|
| 登録したFAQから選ぶ | 発話の意図を理解し、事前に登録した回答文の中から選んで読み上げる | 神戸市(税の問い合わせ)「回答はFAQの中から選択されるため、ハルシネーションは生じない」(総務省ガイドブック第4版 p.101) |
| 生成AIが回答を作る | 登録した資料をもとに生成AIが回答文を組み立てて読み上げる | 豊中市「生成AIを活用した『AI電話応答サービス』」、港区「生成AIによる電話応対DX」、会津若松市「生成AIを活用した電話対応システム」 |
2つの違いは、どちらが優れているかではなく、答えの正確さをどう担保するかにあります。三次市の報告書は、ハルシネーションを「事実に基づかない内容をAIが回答すること」と説明しています。FAQから選ぶ方式は、回答文そのものを事前に登録しておくことで、これが起きないようにする設計です。生成AIが回答を作る方式では、回答のもとになる登録情報の整備と、誤った案内が出ていないかの確認が品質を左右します。
なお、表の豊中市・港区・会津若松市の資料は、生成AIを活用していることを示したものです。回答文をどこまで生成AIが組み立てるかまでは書かれていません。検討の際は、どちらの方式なのかを提供事業者に確かめておくと安心です。
3. AI電話自動応答の仕組み|4つの工程と、工程ごとにつまずく場所
1本の電話が受電から回答・引き継ぎまで進む流れは、自治体のAI電話対応とは?仕組みと有人連携のポイントを解説で詳しくご紹介しています。ここでは「つなぐ」までを含めた4つの工程を1行ずつ確認し、工程ごとにどこでつまずくのかを、実証の報告書から見ていきます。
- 聞き取る:話した声を文字に変えます。三次市の報告書の用語では「利用者の発話を文字情報として認識する処理」です。
- 理解する:文字になった用件から、何を聞きたいのか、どの課の用件なのかを判定します。
- 答える:判定した用件に対応する案内を、音声で返します。
- つなぐ:AIで答えられない、または用件を判定できないときに、職員へ転送するか、折り返しやかけ直しを案内します。
総務省のガイドブック第4版は、AIの機能を「識別」「予測」「実行」の3種類に分け、音声認識を「識別」に位置づけています(p.8)。4つの工程のうち「聞き取る」が、この「識別」にあたります。
次の表は、三次市の報告書にある「確認された課題と改善の方向性」(p.9)の5行を、工程と対応させて並べたものです。
| つまずき | 確認された状況(三次市) | 改善の方向性(三次市) |
|---|---|---|
| 音声認識 (聞き取る) | 品目名や地区名を正しく聞き取れず、回答できない事例 | 品目・地区名辞書の充実、認識モデルと聞き返し方法の改善 |
| 回答情報の未整備 (理解する・答える) | 登録されていない品目や想定外の質問に回答できない事例 | 頻度と安全性を踏まえて優先順位を付け、回答情報を追加 |
| 会話の中断 (聞き取る) | 相づちなどを利用者の新たな発話と捉え、案内が中断する事例 | 相づちを考慮した会話制御の改善 |
| 誤案内 (答える) | 分別区分等を誤って案内する事例 | 回答ルール、確認手順、正解情報との照合を強化 |
| 職員への転送 (つなぐ) | 転送の要否判断、転送提案、転送後の評価が不十分 | 難しい質問は正確性を優先して転送し、結果を記録 |
精度を上げるには、運用しながら手を入れ続ける必要があります。表の改善の方向性にあるとおり、聞き取れなかった言葉を分析し、辞書や回答情報を追加していく作業です。そのうえで三次市は、報告書の「基本的な考え方」に次のように書いています。
「回答できる範囲を広げることだけでなく、回答の確実性が低い場合に無理に回答せず、職員確認へつなぐことも品質向上として評価します。」
「つなぐ」は、AIが答えられなかったときの後始末ではなく、品質の一部として扱われているということです。
聞き取りの精度は、かける側の環境にも左右されます。福岡市保健所は「周囲の環境や電波の状況により、AIが正確に聞き取れない場合があります」、会津若松市は「スピーカーでの通話の場合や周囲の雑音が多い環境では、会話内容を正常に認識できない場合があります」と、住民向けのページで注意を呼びかけています。
4. AI電話自動応答の導入メリットと効果の測り方
AI電話自動応答のメリットは、住民側と職員側に分けると整理しやすくなります。ただし、効果を数字で示すには「何の割合で測るか」を先に決めておく必要があります。実証の報告書でも、職員の負担がどれだけ減ったかはその数値だけでは算定できない、と明記されています。
4-1. 住民側・職員側のメリット
住民側のメリット
- 番号を押さず、普段の言葉で話せる:福岡市の報道発表は「ボタン操作不要、話すだけ」をポイントに挙げています。番号の選択肢を最後まで聞いて選ぶ必要がありません。
- 開庁時間外でも案内を受けられる:豊中市は「閉庁時間を含めた24時間の利用」などへの対応をめざして実証を始めました。会津若松市は、24時間AI専用電話の対応時間を「24時間・365日(土・日・祝日・夜間も対応)」としています。
職員側のメリット
- 時間外の問い合わせの受け皿ができる:三次市の実証では、平日日中以外の利用が212件(53.8%)でした(1つの窓口、2026年7月の1か月間)。総務省のガイドブック第4版は、守口市の実証(2021年12月開始)について「時間外における応対が約50%を占める」と記しています(p.76)。いずれも実証段階の値です。
- かけ直しをお願いしていた電話を、担当窓口へ取り次げる:福岡市は保健所の代表電話について、「これまで区役所等へのかけ直しをお願いしていましたが」と説明したうえで、AI電話が問い合わせ内容に応じて区役所等の担当窓口へ取り次ぐ形にするとしています。
4-2. 効果は「何の割合」で測るか
三次市の報告書は、効果を複数の指標で評価しています。指標ごとに分母が違うため、割合は必ず分母とあわせて見ます。
| 指標 | 定義(三次市) | 実証値(分母) |
|---|---|---|
| AI単独対応完了率 | 職員へ転送せずAIのみで対応を完了した割合 | 41.4%(79件/抽出191件) |
| 回答正答率 | 分別区分や収集日等を正しく回答できた割合 | 71.5%(93件/正誤判定可能130件) |
| 事実に基づかない回答の非発生率 | 事実に基づかない内容をAIが案内しなかった割合 | 97.1%(170件/判定可能175件) |
| 職員への転送 | システム上、職員への転送で終了した通話 | 20件(全394件の5.1%) |
報告書は、この数値の読み方について2つの注意書きを付けています。1つは「『AI対応完了率』は、AIだけで問い合わせを解決した割合ではありません」、もう1つは「AI導入前の電話対応時間や転送後の職員対応時間がないため、この数値だけから職員負担の削減率を算定することはできません」です。報告書には、表の指標とは別に、転送がうまくいった通話や、答えられないときの案内が適切だった通話まで含めた、より広い「AI対応完了率」という指標があり、1つ目の注意書きはこの指標についてのものです。本記事の表には、AIだけで完了した割合を示す「AI単独対応完了率」を載せています。また、表の上3つの指標は抽出した191件(またはそのうち判定できた通話)が分母で、職員への転送だけは全394件が分母です。
つまり、導入前に今の電話件数と対応時間を測っておかないと、導入後に効果を示せません。この点は、7章の「導入前に整えること」でも取り上げます。
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5. 自治体でのAI電話自動応答の活用方法|2つの使い方と先行団体
公式発表のある団体を見ると、自治体での使い方は「代表電話の担当窓口への取次ぎ」と「開庁時間外を含む24時間の案内」の2つに分けられます。以下は、いずれも各団体が発表した時点の内容です。
使い方1:代表電話の担当窓口への取次ぎ
福岡市は、保健所の代表電話で、2025年度(令和7年度)に「AI電話」が担当窓口への取次ぎを行う実証実験を行いました。2026年(令和8年)6月1日の報道発表では、その実証結果を踏まえ、「令和8年7月頃から本格導入」すると発表しています。対象は、飲食店開業の届出や医療従事者の免許申請など、保健所の代表電話に寄せられる問い合わせです。
福岡市保健所のページでは、この仕組みを「AIオペレーター」と呼び、次のように案内しています。
「代表電話に問い合わせいただくと、AIが電話でご用件を聴き取り、問い合わせ内容に応じて担当窓口へお繋ぎします。」
「なお、AIでの対応が難しい問い合わせや、職員との通話を希望される場合は、職員へ転送します(開庁時間に限ります)。」
使い方2:開庁時間外を含む24時間の案内
特定の課への問い合わせを、閉庁時間も含めてAIが受ける使い方です。次の表は、各団体の発表時点の内容をまとめたものです。
| 団体 | 対象窓口・内容 | 段階(発表時点) | AIで答えられないときの扱い | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 豊中市 | 子育て給付課・家庭ごみ事業課・産業振興課・建築審査課 | 実証(2026年7月27日開始) | 「担当職員による対応へ円滑につなぎます」 | 市 NEWS RELEASE(2026年7月24日) |
| 福島市 | 市民課(証明書の発行・戸籍の届け出・住所の届け出の案内) | 実証(2026年1月28日〜2月25日) | 市民課の電話番号を案内し、従来どおり職員が対応(職員の対応は平日8時30分〜17時15分) | 市 記者発表資料(2026年1月22日) |
| 会津若松市 | 市民課・国保年金課の手続き案内 | 試験運用(24時間AI専用電話は2025年6月25日から。市民課直通電話での平日11時〜14時の対応は2026年10月30日から開始予定) | 24時間AI専用電話:内容によって市役所代表電話へつなぐ。業務時間外は、後日担当部署から電話する場合がある/市民課直通電話:14時以降に市民課職員から折り返し | 市公式サイト(2026年9月29日公開) |
| 港区 | 区民課(証明書の交付、マイナンバーカードの交付、児童手当など。生活福祉係の業務を除く) | 実証(2026年1月13日〜2月28日) | 開庁時間(平日8時30分〜17時)に限り職員へ転送 | 区 プレスリリース(2026年1月6日) |
| 三次市 | ごみの分別・出し方・収集日・地区の確認 | 実証(2026年7月1日〜31日) | 必要に応じて職員への転送を案内 | 市 実証実験結果報告書(2026年8月) |
いずれも実証または試験運用の段階で、本格導入や効果を確定した資料ではありません。効果の数値は、三次市の報告書の値を4章にまとめています。
受付・予約や、期間を限った運用など、ほかの使い方はボイスボットとは?自治体・公共機関での活用方法を解説でご紹介しています。
6. 住民が戸惑わないための運用ルール3つ
AIが電話に出ると、住民は「このまま話していいのか」「切ったほうがいいのか」と迷いがちです。福岡市保健所が公開しているページなどをもとに、迷わせないための案内の作り方を3つにまとめました。
- 1冒頭の案内で「AIが出ること」と「話す合図」を伝える福岡市保健所の代表電話では、最初に「こちらは福岡市保健所 代表電話です。AIがご用件をお伺いし、担当部署にお繋ぎいたします。」というアナウンスが流れます。話してよいタイミングは「ポン」という効果音で知らせ、話し終えるともう一度「ポン」と鳴る運用です。福島市が示した利用イメージでは、AIが「お電話ありがとうございます。福島市役所AIオペレーターです。この通話は品質向上のために録音させて頂きます。ご用件は何でしょうか。」と話し始めます。2つに共通するのは、最初に「どこの電話か」と「AIが応対していること」を名乗っている点です。福島市の例は、続けて録音の告知と用件の問いかけまでを冒頭に入れています。
- 2職員につないでほしいときの言い方を案内文に入れる福岡市保健所は「個人情報を含む問い合わせについては、『職員に繋いで』などお話しいただければ、担当職員へ転送します」と案内しています。人に代わってほしいときの言い方を先に伝えておけば、住民はAIとのやり取りで行き詰まりにくくなります。時間外で転送できないときの扱いは団体ごとに異なり、その内容は5章の表のとおりです。
- 3録音と個人情報の扱いを先に伝える福岡市保健所は、留意事項として「応対品質向上のため、通話内容を録音しています」「通話内容が生成AIの学習に利用されることはありません」「利用にあたって、個人情報はお話しにならないようお願いします」と明記しています。行政側で確かめておくことは、個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2023年(令和5年)6月2日)の「行政機関等における注意点」が参考になります。地方公共団体の機関(議会を除く)も対象で、生成AIサービスに個人情報を含む入力をする場合は「特定された当該個人情報の利用目的のための必要最小限の利用又は提供であることを十分に確認すること」、保有個人情報を含む場合は「当該生成AIサービスを提供する事業者が、当該保有個人情報を機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること」とされています。生成AIを使うAI電話では、通話の内容がどう扱われるかを事業者に確かめ、その結果を住民向けの案内に書いておくと、住民も安心して使えます。
7. 導入前に自治体側で整えること4つ
総務省の「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>」第4版(2025年(令和7年)12月)は、これからAI導入を検討する自治体が直面すると想定される課題として、4つを挙げています(p.7「AI導入に関する課題」I〜IV)。この4つに沿って、AI電話自動応答の導入前に整えることをまとめます。
- 1どの電話を任せるかを決める課題I「AIを具体的にどのような分野や業務に取り入れれば効果があるかわからない」先行団体は、対象の窓口を絞って始めています。福岡市は保健所代表電話の取次ぎ、豊中市は4課の問い合わせ、港区は区民課の問い合わせが対象です。「代表電話の取次ぎ」から始めるのか、「特定の課の案内」から始めるのかを、最初に決めておきます。
- 2庁内の検討体制をつくる課題II「庁内の検討体制をどのように構築していけばよいかがわからない」ガイドブックによると、先行団体では、情報システム部署だけでなく、企画政策部署や業務担当部署と連携して体制をつくるケースがあります。AI電話の場合は、代表電話を所管する総務課などと、取次ぎ先になる各課の両方が加わる必要があります。どの用件をどの課へつなぐかは、取次ぎ先の課が加わらなければ決められないためです。
- 3個人情報と条例の扱いを確認する課題III「自治体が保有するデータ(個人情報、庁内の機密情報)の取り扱いが難しい」ガイドブックは、団体内の条例上の取り決めと、事業者との契約における個人情報の取り扱い方法を、詳しく確認する必要があるとしています。神戸市は、生成AIの導入にあたり「条例に基づく市長の指定を受けた」とされています(ガイドブック第4版 p.101)。あわせて、録音データや文字起こしの保存先と保存期間を、契約で決めておきます。
- 4議会・住民への説明と効果指標を用意する課題IV「AI導入にかかる市民や議会からの理解、予算要求・庁内調整が大変」ガイドブックは、AI導入計画書を作り、導入の目的や費用対効果を含むメリット、実際の導入までのスケジュールをできるだけ具体的に説明するよう勧めています。AI電話では、4章の表の指標(AI単独対応完了率・回答正答率・事実に基づかない回答の非発生率・職員への転送件数)のうち何で効果を見るかを導入前に決め、今の電話件数と対応時間を先に測っておきます。
8. 代表電話の「取次ぎ」から始める当社のAI電話
本記事で紹介した自治体の事例は、当社の導入事例ではありません。
そのうえで、当社が自治体向けにご提案しているAI電話の内容をご紹介します。
- 担当課への振り分け:住民が用件を話すだけで、AIが聞き取って担当課へ振り分けます。現時点の提供は振り分けが中心です。将来的には、よくある質問にAIがその場で回答する運用も可能です。
- 人が受ける出口:AIが一度で振り分け先を特定できないときは聞き直し、それでも難しい場合は当社のコールセンター、または総務課など担当部署へ転送します。
- 代表番号:既存の代表番号のまま、電話転送の設定で導入する想定です。
- 導入の流れ:ヒアリング・お見積り → 設定・試験運用 → 本稼働。概ね1か月以内の本稼働を想定しています。
- 費用の目安:初期費用は12万円(税抜)程度がひとつの目安です。AI自動回答の項目数によって変動します。
- 運用開始後:AIが聞き取れなかった言葉を分析し、自動で振り分けできる範囲を段階的に広げます。
- 定例会:月1回の定例会で、対応履歴をご報告します。
- 契約:最低利用期間は3か月です。解約は3か月前までにメールでご連絡いただきます。
- オプション:夜間休日対応・多言語対応はオプションでご用意しています。
- 個人情報の取り扱い:プライバシーマークを取得しています(登録番号10825293)。
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AIが振り分け先を特定できない電話は、当社のコールセンターや担当部署の方が受ける形でご提案します。代表電話のどの用件からAIで受けるか、特定できなかった電話をどこへつなぐかを伺いながら、既存の代表番号のまま始められる形を一緒に整理します。
9. AI電話自動応答に関するよくある質問
Q1. 方言や固有名詞は聞き取れますか?
聞き取れない言葉は出てきます。三次市の実証でも「品目名や地区名を正しく聞き取れず、回答できない事例」が課題に挙がり、改善の方向は「品目・地区名辞書の充実、認識モデルと聞き返し方法の改善」とされました。聞き取れなかった言葉を集め、辞書や回答情報を追加していく前提で導入するのが現実的です。
Q2. 既存の代表電話番号は変わりますか?
番号を変えずに使っている例があります。福岡市保健所のページは「代表電話に問い合わせいただくと、AIが電話でご用件を聴き取り」と案内しており、住民がかける番号は代表電話のままです。
Q3. 課の直通電話でも使えますか?
会津若松市は、市民課の直通電話で平日11時〜14時にAIが応答する試験運用を、2026年(令和8年)10月30日から始めると公表しています。時間帯を区切って、課の直通番号にAI電話を使う例です。
Q4. 実証実験と本格導入は何が違いますか?
実証実験は、期間や窓口を限って有効性や課題を確かめる段階です。5章の表の団体は、いずれも実証または試験運用の段階にあります。福岡市は、保健所代表電話での実証結果を踏まえて本格導入を発表しました。実証の間に4章で紹介した指標を取っておくと、本格導入を判断する材料になります。
10. まとめ:AI電話自動応答は「工程ごとのつまずき」と「効果の測り方」を先に知ってから導入する
- 仕組みは「聞き取る・理解する・答える・つなぐ」の4工程で、つまずく場所は工程ごとに決まっている
- 効果はAI単独対応完了率・回答正答率・職員への転送件数などで測る。導入前の電話件数と対応時間を先に測っておく
- 自治体の使い方は「代表電話の取次ぎ」と「時間外の案内」の2つ。住民向けの案内文と、庁内の準備4つを先に整える
AIに任せる範囲を広げることだけが目標ではありません。答えられない電話を人へつなぐところまで含めて設計すると、住民にとっても職員にとっても使いやすい仕組みになります。
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参考情報
一次資料(自治体・省庁の公式資料)
- 三次市「ごみ分別案内Voice AI 実証実験結果報告書」(2026年(令和8年)8月)
- 福岡市 総務企画局DX戦略課ほか「制度や手続などの基本的な問い合わせに24時間対応『AI電話』の実証実験を開始します!」(2026年(令和8年)6月1日)
- 福岡市保健所「福岡市 AIオペレーターについて」(2026年(令和8年)8月19日更新)
- 豊中市「AI電話応答サービスの実証実験を開始」NEWS RELEASE(2026年(令和8年)7月24日)
- 福島市 記者発表資料(2)「電話AIサービスの実証実験を行います」(2026年(令和8年)1月22日)
- 会津若松市「生成AIを活用した『AI電話対応さくらさん』の試験運用を実施しています」(2026年(令和8年)9月29日公開)
- 港区「令和7年度みなと新技術チャレンジ提案制度 生成AIによる電話応対DX実証実験を行います」(2026年(令和8年)1月6日)
- 総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>」第4版(2025年(令和7年)12月)
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2023年(令和5年)6月2日)



