AI活用事例
プログラミング未経験の店舗スタッフが業務アプリを開発 ホームセンター「グッデイ」に見る、現場発AI活用の条件

プログラミング未経験の店舗スタッフが業務アプリを開発 ホームセンター「グッデイ」に見る、現場発AI活用の条件

「AI活用は専門部署の仕事」――そう思っていないでしょうか。ホームセンター「グッデイ」では、開発未経験の現場スタッフが自らAIアプリを作り、属人化していた業務を標準化しています。同社代表取締役社長へのインタビュー記事から、現場発のAI活用を広げるための条件を読み解きます。

事例:見積もりアプリと商圏分析アプリを現場社員が開発

福岡を拠点とするホームセンター「グッデイ」は、2015年頃からデータ活用を進めてきた土台の上に、生成AIの活用を広げています。代表取締役社長の柳瀬隆志氏は、開発未経験の現場社員でも、業務データさえ整理されていればAIの支援でアプリを自作できる環境づくりに取り組んできました。

象徴的なのが、店舗で受注販売している「物置」の見積もりアプリです。従来は分厚いカタログを見ながら下地の材質や工事の有無を確認し、ExcelやWordで見積書を作成していました。これをデータベース化し、条件を選ぶだけで自動的にPDFの見積書が発行されるアプリを現場の社員自身が開発。ベテランに依存していた業務を、アルバイトスタッフでもこなせるようになり、人件費削減と業務効率化に直結しました。

アプリ 開発前後の変化
物置見積もりアプリ カタログ+Excel/Wordでの手作業 → 条件選択で自動PDF発行、ベテラン依存から脱却
商圏分析アプリ プログラミング未経験の店舗開発担当者が、競合店・国勢調査データをもとに独自開発

もう一つの例が、店舗開発担当者が自ら作った「商圏分析アプリ」です。競合店や国勢調査のデータを読み込み、地図上で任意の形にエリアを区切って精度の高い分析ができるもので、開発者はプログラミング研修を受けていませんでした。柳瀬氏は「業務に強い課題意識を持っていたため、自らAIを活用してアプリを作り上げた」と振り返っています。同社ではこうした挑戦を後押しするため、IT子会社カホエンタープライズと協力し、GitHubやGoogle Cloud、Dockerといった「AI周辺知識」を教える社内研修カリキュラムも整備しています。

この事例から得られる、4つの気づき

POINT

AI活用は「専門部署」から「現場」へ広げられる

グッデイの取り組みからは、自社でAI活用を広げる際に押さえておきたい条件が見えてきます。

  • 1 プログラミング未経験でも、業務課題への理解があればアプリは作れる。開発は情報システム部門だけの仕事ではなく、現場の課題意識を持つ社員こそが最適な開発者になり得ます。
  • 2 AI活用の前提は、データの整理にある。グッデイは約10年にわたるデータ分析の蓄積があったからこそ、AIが社内データを正確に参照できる環境が整いました。AI導入より先に、データの棚卸しが必要な場合があります。
  • 3 ベテラン依存の業務を"仕組み化"すると、属人化から抜け出せる。物置見積もりアプリのように、経験や知識に頼っていた業務をアプリ化すれば、経験の浅いスタッフでも対応できるようになります。
  • 4 ツールを配るだけでなく、周辺知識を教える研修とセットにする。GitHubやクラウドなどの基礎知識を教える研修体制があったからこそ、現場発のアプリ開発が組織的に広がりました。

まとめ

自社にも、「ベテランでなければ対応できない」「毎回手作業でカタログとExcelを行き来している」といった業務はないでしょうか。まずはその業務のデータを整理することから、現場発のAI活用が始まるかもしれません。

出典

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