開発生産性5倍・営業の残業ほぼゼロ。GMOブランドセキュリティに学ぶ、AI活用を「定着」させる仕組みづくり
「ツールを導入したのに、なぜか定着しない」という悩みは、AI活用に取り組む企業の多くが直面する壁です。2026年9月9日、GMOブランドセキュリティ株式会社は、企業データ基盤「SalesNow」と生成AIを組み合わせた営業DXの取り組みにより、システム開発の生産性を半年で約5倍に高め、営業部門の残業をほぼ解消したと発表しました。ツールだけでなく「制度」とセットで進めたこの事例から、自社の業務改善に活かせるヒントを探ります。
事例紹介:データ基盤と生成AIの組み合わせで営業を変える
ブランドセキュリティ事業で国内シェアNo.1を持つGMOブランドセキュリティは、これまで大手企業を中心としたフィールドセールスを展開してきました。しかし、より広い市場にアプローチを広げていくには、営業先の的確な絞り込みや、提案書作成・データ集計・議事録作成といった付随業務の効率化が課題となっていました。
そこで導入したのが、国内約1,400万件の企業データを持つ基盤「SalesNow」です。SalesforceのデータとMCP連携させることで、生成AIが直接企業データを参照しながら業務を進められる環境を構築しました。同社CTOの山下寿也氏は「AIの精度を決めるのは参照するデータ。安全に活用できる質の高い企業データは不可欠」と、データ基盤への投資の重要性を語っています。
特徴的なのは、仕組みの導入だけでなく「AIデー」(月1日、業務をAIのみで進める日)や社内AI資格、AI活用支援金といった社内制度をあわせて整備し、現場への定着を後押しした点です。導入の結果、次のような成果が得られました。
| 項目 | 成果 |
|---|---|
| システム開発の生産性 | 半年で約5倍に向上 |
| 営業部門の残業 | ほぼ解消 |
| 営業アプローチ | 部署・役職を特定したピンポイント営業を開始 |
同社は今後、営業アプローチから返信対応までの完全自動化も視野に入れているといい、データ基盤とAIを土台に、段階的に自動化の範囲を広げていく姿勢がうかがえます。
気づき・教訓:自社の業務改善に活かす4つのポイント
今回の事例は営業部門のものですが、AIを組織に根づかせる進め方には、部門を問わず参考になる点が多くあります。
AI活用を「定着」させるための視点
ツールを入れただけで終わらせず、組織に根づかせるには何が必要か。今回の事例から4点を整理しました。
- 1 ツール導入と「制度」をセットで進める。「AIデー」や社内資格、活用支援金のような仕組みが、現場への定着を後押しします
- 2 AIの精度は「参照するデータの質」に左右される。安全で鮮度の高いデータ基盤を土台に据えることが、成果の分かれ目になります
- 3 提案書作成・データ集計・議事録作成といった定型業務をAIに任せ、人は営業先の見極めや関係構築など「判断」が要る仕事に集中します
- 4 一度の仕組み化で終わらせず、次の自動化範囲(問い合わせ対応など)を見据えて段階的に広げていきます
まとめ
「AIを導入したが定着しない」という壁は、ツール選びだけでなく、制度や運用ルールとセットで乗り越えるものだと今回の事例は示しています。自社の営業やバックオフィスの中で、AIと制度をあわせて設計できそうな業務がないか、一度棚卸ししてみてはいかがでしょうか。
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