検索45分→5分に短縮。CADDi導入に見る、AIで「属人化した技術知見」を資産化する方法
「あの図面、前にも似たものを扱った気がする」——そんな記憶を頼りに過去の資料を探す作業に、時間を取られていないでしょうか。2026年8月20日、製造業向けAIデータプラットフォーム「CADDi」を提供するキャディ株式会社は、ヤンマーエネルギーシステム株式会社への導入事例を公表しました。類似案件を探す時間を最大89%削減したこの事例から、属人化しがちな「探す」業務をAIでどう効率化できるか、そのヒントを読み解きます。
過去案件の「発見」に45〜90分。ヤンマーエネルギーシステムが直面した課題
ヤンマーエネルギーシステム株式会社の大阪支社では、過去に手がけた案件の情報が社内のフォルダ管理システム上に分散して保存されていました。似たような案件を過去に扱っていても、必要な資料を探し出すのに1案件あたり45〜90分を要していたといいます。
結果として、過去案件の知見を活かして進められる新規案件は、大阪支社全体でも約1割にとどまっていました。過去の実績を参照できないまま、メーカー側へ一から検討を依頼すると、回答が返るまでに1〜2週間の遅れが生じることも珍しくなかったそうです。属人化した技術知見が担当者の記憶や個別のフォルダに眠ったままになっていたことが、業務のスピードを落とす一因になっていました。
こうした課題に対し、同社はキャディ株式会社が提供する製造業向けAIデータプラットフォーム「CADDi」を大阪支社に導入し、検証を実施しました。CADDiは、社内に蓄積された図面や技術資料などのデータをAIで整理・検索可能な状態にし、必要な情報に素早くたどり着けるようにするサービスです。導入の結果、類似案件を探し出す時間は45分から5分へと短縮され、最大89%の削減を達成しました。
| 項目 | 導入前 → 導入後 |
|---|---|
| 類似案件の特定時間 | 45分 → 5分(最大89%削減) |
| 技術資料へのアクセス時間 | 50分 → 26分(約半減) |
| メーカーへの確認対応 | 従来の1〜2週間の遅れを短縮 |
気づき・教訓:「探す」時間をなくすためにできること
この事例から、自社の業務改善にも応用できる示唆を整理してみます。
自社に応用するための4つの視点
今回の事例が示しているのは、派手な新規開発ではなく、日常業務の「見つからない」を解消することの価値です。
- 1 属人化した知見を「データ」として資産化することが、AI活用の土台になる。ノウハウが個人の記憶や紙・個別フォルダの中にとどまっている限り、AIはその力を発揮できない
- 2 一件あたりは数十分でも、積み重なれば大きな損失になる「地味な検索業務」こそ、AI導入の投資対効果が高い領域だといえる
- 3 全社一斉ではなく、一つの拠点・部署で検証してから成果を数値で確認し、その後に展開範囲を広げる進め方が有効
- 4 「何に、どれだけ時間がかかっているか」を具体的に洗い出すことが、AI活用の効果を測る出発点になる
まとめ:自社の「探す」業務を棚卸ししてみませんか
今回の事例が示すのは、派手な自動化ではなく、日々の「探す」「調べる」という地味な業務に光を当てた点にこそ学びがあるということです。自社の中にも、担当者の経験や記憶に頼って情報を探している業務がないか、まずは一度棚卸ししてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
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