紙とハンコに追われた経理現場、AIで年間600時間を生み出した学校法人の改革
「請求書はExcelとネットバンキングと会計システムに三重で入力」「経費精算には少額でも上長の押印と現金の受け渡しが必要」——こうした紙前提の業務フローは、多くの組織に今も残っています。今回は、1909年創立の学校法人が請求書処理・経費精算をAIでデータ化し、年間約600時間の削減を実現した事例から、バックオフィスのAI活用のヒントを探ります。
事例紹介:紙とハンコに追われていた経理現場を、AIはどう変えたか
東京都北区にある学校法人中央工学校は、年間約4,000件にのぼる請求書処理と経費精算を、長年紙を中心とした運用で行ってきました。財務課の職員は、届いた証憑をもとにExcel・ネットバンキング・会計システムへそれぞれ手作業で転記する必要があり、同じ情報を三重に入力する非効率が常態化していました。さらに経費精算では、金額の大小にかかわらず上長の押印と現金の受け渡しが必須というルールがあり、「教育活動そのものの負担になっている」という声が現場から上がっていたといいます。
そこで同法人が導入したのが、請求書の受領代行によってデータ化を行う「TOKIUMインボイス」と、経費精算をオンラインで完結させる「TOKIUM経費精算」です。単にツールを入れるだけでなく、学校法人特有の会計基準に対応させたうえで、紙の受領・押印・現金授受を前提とした業務プロセスそのものを見直した点がポイントです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象業務 | 年間約4,000件の請求書処理・経費精算 |
| 削減時間 | 財務課の関連業務で年間約600時間を削減 |
| 副次効果 | 小口現金管理の負担や、支払い漏れの懸念も軽減 |
気づき・教訓:自社に応用できる4つのポイント
この事例から、業種を問わず応用できる示唆が見えてきます。
バックオフィスAI活用で押さえたい4つの視点
今回の事例は経理部門でしたが、考え方は総務・人事・営業事務など他部門にも転用できます。
- 1 「同じ情報を複数システムに手入力している」業務ほど、AIによるデータ化の効果が大きく出やすい。まずは転記が重複している業務を洗い出す
- 2 少額でも押印・現金対応を求めるといった「昔からのルール」自体が負担を膨らませていないか、ツール導入と同時に見直す
- 3 業界・業種特有の会計基準やルールにツールが対応できるかどうかが、選定時の重要な分かれ目になる。汎用ツールをそのまま当てはめられるとは限らない
- 4 「年間○時間削減」のように、導入前に業務にかかっている時間を可視化しておくと、投資対効果を判断しやすくなり、社内合意も取りやすい
まとめ:まず「何度も転記していないか」を棚卸しする
今回の学校法人の事例は、特別なシステムを一から開発したわけではなく、既存のAIサービスを活用し、あわせて業務プロセスと社内ルールを見直したことで年間600時間という成果につながりました。自社のバックオフィス業務でも、「同じ情報をいくつのシステムに、何回入力しているか」を一度棚卸ししてみることが、AI活用の第一歩になるかもしれません。
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