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自治体の電話対応DXとは?代表電話の課題とAI・有人連携による解決策

COLUMN

自治体の電話対応DXとは?代表電話の課題とAI・有人連携による解決策

自治体の電話対応DXとは、代表電話の受付・回答・取次ぎをデジタル化し、AIと有人対応を組み合わせて住民対応を整える取り組みです。

自治体の代表電話には、開庁時間、ごみの出し方、税、引っ越し、戸籍、選挙など、幅広い用件が集まります。多くの自治体では、総務担当の職員がまず電話を受け、内容を聞き、その都度担当課へ手作業で取り次いでいます。この運用自体は珍しくありませんが、着信件数が多い自治体ほど、取次ぎだけでかなりの時間を取られます。

しかも電話は、窓口以上に仕事を中断させやすいものです。書類確認の途中でも、来庁対応の合間でも、庁内調整の最中でも鳴る。本来の業務に戻るまでに、意外と時間がかかるんですよね。

そこで検討されているのが、AIボイスボットやIVRで定型問い合わせや取次ぎを整理しつつ、判断が難しい内容は職員や有人オペレーターへつなぐという考え方です。全部をAIに任せるのではなく、定型対応はデジタル、難しい相談は人、という分担です。

デジタル庁が進める自治体窓口DXは、「書かない」「待たない」「回らない」窓口を目指す取り組みとして整理されています。電話対応DXは、その“電話の入口版”と考えるとイメージしやすいはずです。(出典:https://www.digital.go.jp/policies/cs-dx)

1. 自治体の電話対応DXとは

自治体の電話対応DXは、住民の利便性と職員の負担軽減を両立するために、代表電話の入口を整理し直す取り組みです。

AIですべてを完結させる、という話ではありません。よくある問い合わせや取次ぎはデジタルで受け止め、判断が難しい電話や個別相談は人へつなぐ。この役割分担が前提です。全部をAIに寄せないからこそ、現場で動かしやすいとも言えます。

自治体窓口DXとの違い

項目 自治体窓口DX 自治体の電話対応DX
【主な対象】 来庁時の申請、手続き、案内業務 代表電話における受付、案内、取次ぎ業務
【主な課題】 書類記入の負担、待ち時間、複数窓口への移動 電話の混雑、取次ぎ負担、案内品質のばらつき
【住民側の改善】 書かない、待たない、回らない窓口の実現 つながりやすさの向上、待ち時間の短縮、適切な窓口案内
【職員側の改善】 記載説明や申請内容確認の負担軽減 代表電話対応や定型的な案内業務の負担軽減

従来型IVRとAIボイスボットの違い

項目 従来型IVR AIボイスボット
【入力方法】 プッシュボタンによる番号選択 住民の発話内容を聞き取って判別
【主な活用場面】 選択肢が明確な定型案内 用件の聞き取り、FAQ回答、担当部署への振り分け
【特長】 仕組みが比較的シンプルで導入しやすい 発話内容に応じた柔軟な案内や振り分けが可能
【注意点】 選択肢が多いと操作が煩雑になりやすい 聞き取り困難時の再確認や有人対応との連携設計が必要

この章のポイント

  • 自治体の電話対応DXは、代表電話の入口改善が中心
  • AIだけで完結させない運用が現実的
  • 窓口DXと似ているが、対象は来庁ではなく電話
  • IVRとAIボイスボットは似て見えて、できることが違う

NTT東日本も、自治体の電話業務では、定型問い合わせの多さ、職員の時間圧迫、対応品質の属人化、特定時期への負荷集中を課題として挙げています。(出典:https://business.ntt-east.co.jp/content/cloudsolution/municipality/column-56.html)

2. 自治体の代表電話が抱える5つの課題

自治体の代表電話が抱える5つの課題

自治体の代表電話の課題は、電話件数の多さそのものより、取次ぎと中断が積み重なって業務全体に影響することです。

5つの主な課題

  • 総務担当が用件を聞いて手作業で担当課へ取り次いでいる
  • 電話が鳴るたびに通常業務が止まる
  • 繁忙期に問い合わせが一気に集中する
  • 経験や知識によって案内品質が変わりやすい
  • 住民側にも「つながらない」「待たされる」「回される」負担が出る

課題を整理するとこうなります

項目 自治体側で起こること 住民側で起こること
【手作業での取次ぎ】 総務や代表交換の負担が重い 適切な部署につながるまで時間がかかる
【業務中断】 書類確認や庁内調整が止まる 回答まで待たされやすい
【繁忙期の集中】 特定部署の電話がパンクしやすい 話中・長い待ち時間が発生しやすい
【属人化】 担当者ごとに案内差が出る 回答品質が安定しにくい
【たらい回し】 どこへつなぐか判断に迷う 複数部署へ回されることがある

現場で起こりがちな場面

  • 税の時期だけ電話が急増する
  • 引っ越しシーズンに市民課まわりの問い合わせが集中する
  • 選挙前後に案内電話が一気に増える
  • ごみ関連の問い合わせが朝に偏る

デジタル庁の窓口DXでも、住民の「待たされる」「複数の窓口に回される」といった負担が整理されています。電話でも、ほぼ同じことが起きていると言えそうです。(出典:https://www.digital.go.jp/policies/cs-dx)

3. 自治体の電話対応DXでできること

自治体の電話対応DXでできること

電話対応DXでできるのは、住民の用件を整理し、適切な案内や転送へつなげることです。

できること一覧

  • 住民の用件を音声で聞き取り、担当課へ自動で振り分ける
  • 開庁時間、必要書類、ごみの出し方、証明書の取得方法などに自動回答する
  • AIが一度で聞き取れない場合は再確認する
  • それでも判断できない場合は、有人オペレーターや担当部署へ転送する
  • 通話履歴や未回答内容をもとにFAQや振り分けルールを改善する

基本フロー

1. 住民から電話が入る

2. AIボイスボットが用件を聞き取る

3. FAQで回答できる内容は自動回答する

4. 担当課が明確なら自動で振り分け・転送する

5. 判断困難・聞き取り困難な場合は人へつなぐ

ポイント

  • 最初から全部をAIでさばく前提にしない
  • 再質問を前提にする
  • 最後に人へつなげる逃げ道を用意する
  • 履歴を見ながら運用を育てる

神戸市の試験導入でも、一般的・定型的な税の問い合わせはボイスボットが受け、FAQで回答できない場合は職員へ接続する運用が採られています。(出典:https://www.city.kobe.lg.jp/a53704/037696489209.html)

4. 自治体が電話対応をDXするメリット

自治体が電話対応をDXすると、取次ぎ負担の軽減だけでなく、住民対応の入口そのものを整えやすくなります。

主なメリット

  • 代表電話の取次ぎ負担を軽減できる
  • 職員が本来業務へ集中しやすくなる
  • 住民の待ち時間や話中を減らしやすい
  • 案内品質のばらつきを抑えやすい
  • 夜間・休日・繁忙期にも対応しやすくなる
  • 問い合わせ内容をデータ化して改善に使える

メリットを整理すると

【取次ぎ負担の軽減】→総務担当の手作業が減る

【業務集中】→住民相談、企画、審査などに時間を戻しやすい

【利便性向上】→話中や待ち時間を減らしやすい

【品質安定】→FAQやルール整備で案内差を縮めやすい

【時間外対応】→夜間・休日も一定の案内がしやすい

【継続改善】→よくある問い合わせを見える化できる

5. 自治体の電話対応DXで注意すべき課題

電話対応DXは便利ですが、システムを入れるだけではうまく回らず、運用設計と情報管理が重要です。

注意点一覧

  • AIがすべての問い合わせを正確に判断できるわけではない
  • 自治体ごとに部署名、制度、地域特有の問い合わせが異なる
  • 方言、高齢者特有の話し方、雑音などで聞き取りが難しいことがある
  • 通話録音や会話データ、個人情報の扱いを確認する必要がある
  • 導入前に「どの電話をAIに任せ、どの電話を人へつなぐか」を決める必要がある

このあたりは、現場の実態とズレやすい表現です。有人バックアップを前提に考えるほうが自然です。

6. 自治体の電話対応をDXする4つの方法

自治体の電話対応をDXする4つの方法

自治体の電話対応DXは、業務の性質に合わせて方式を選ぶのが基本です。

4つの方法

項目 向いている業務 メリット 注意点
【従来型IVR】 開庁時間、施設案内、選択肢が少ない定型業務 仕組みが比較的シンプル 階層が深いと迷いやすい
【AIボイスボット】 FAQ回答、担当課案内、用件聞き取り 発話ベースで案内しやすい 再確認や有人連携が必要
【有人コールセンター】 個別判断が必要な相談、苦情、複雑な案内 柔軟な対応がしやすい 人件費・教育コストがかかる
【AI+有人】 代表電話の入口全体、繁忙期対応、段階導入 自動化と柔軟対応を両立しやすい 役割分担設計が重要

比較のポイント

  • コストだけで見ない
  • 対応品質も見る
  • 繁忙期の耐性も見る
  • 既存運用とのなじみやすさも確認する

自治体向けの比較では、AI系の競合サービスだけでなく、専任職員配置や通常の有人コールセンター委託も比較対象になりやすい傾向があります。

7. 自治体向け電話対応DXサービスの選び方

サービス選定では、機能の多さより、自治体ごとの運用に合わせて更新・改善できるかを重視したほうが失敗しにくいです。

確認したいポイント

  • 部署名、制度名、専門用語を追加・更新できるか
  • 用件ごとの転送先や振り分けルールを細かく設定できるか
  • AIで判断できない場合に有人対応へ切り替えられるか
  • 既存の代表電話番号を活かして導入できるか
  • 通話録音、個人情報、アクセス権限などの管理体制は十分か
  • 導入後も履歴を見ながら改善できるか
  • 自治体の調達、予算、契約プロセスに対応できるか

8. 自治体が電話対応DXを導入する流れ

自治体が電話対応DXを導入する流れ

まず現状の着信実態を見える化し、件数の多い定型問い合わせから小さく始めるのが現実的です。

導入の5ステップ

1. 月間着信件数、時間帯、問い合わせ内容、取次ぎ先、平均対応時間を整理する

2. 定型的で件数の多い業務から、自動化する範囲を決める

3. 部署一覧、各課の専用番号、FAQ、振り分けルールを準備する

4. AIの回答内容と転送動作を設定し、試験運用する

5. 本稼働後も履歴を確認し、月次でFAQや振り分けルールを改善する

準備しておくとよいもの

  • 部署一覧
  • 各課の専用番号
  • よくある問い合わせ
  • 振り分けルール
  • 繁忙期の問い合わせ傾向

設定項目数によっては、おおむね1か月以内で本稼働開始を想定するケースもあります。ただし、対象部署が多い場合は準備期間が長くなります。

9. 自治体の電話対応DXにかかる費用

費用は「どこまで自動化するか」「どこまで人を残すか」で大きく変わるため、料金だけでなく運用範囲まで含めて比較することが大切です。

確認したい費用項目

  • 初期費用:要件整理、FAQ整備、振り分けルール設計、試験運用
  • 運用費用:月額利用料、回線費、通話料、保守費
  • オプション費用:夜間休日対応、多言語対応、追加チューニング、有人対応、レポート強化など

比較軸

項目 費用の見方 向いているケース
【専任職員を配置】 人件費、異動・教育コスト 小規模で運用が固定化している場合
【有人コールセンターへ委託】 月額費用+応対件数の変動費 複雑な問い合わせが多い場合
【AI+有人で運用】 初期設定費+運用費+必要に応じた有人費 定型問い合わせを減らしつつ、安心感も残したい場合

補足

  • 初期費用の目安として12万円程度が想定されるケースもある
  • ただし、AI自動回答の項目数などで変動する
  • 夜間休日、多言語、追加チューニングは個別見積もりになりやすい

10. 自治体における電話対応DXの事例

自治体における電話対応DXの事例

自治体の電話対応DXはすでに複数の自治体で試行・実証が進んでいますが、対象業務や条件は限定的なので、数値は条件つきで見る必要があります。

事例比較

項目 内容 主な結果 注意点
【京都市】 持込ごみ問い合わせのAIボイスボットPoC 想定シナリオに対する正答率97.8% 内部検証であり、全実運用の結果ではない
【神戸市】 税務部への一般的・定型的な問い合わせに試験導入 FAQで回答できない場合は職員へ接続 対象は住民税の定型問い合わせ中心
【福島市】 市民課の定型問い合わせに電話AIを実証 自己完結率60%、満足度82%、職員の90%が集中時間増 対象業務は住所異動・証明書発行・戸籍届出など

事例の要点

  • 京都市:令和7年6月〜7月の検証で、想定シナリオに対する正答率97.8%(出典:https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000346757.html)
  • 神戸市:年間40万〜50万件の税務部問い合わせのうち、一般的・定型的な内容にボイスボットを試験導入(出典:https://www.city.kobe.lg.jp/a53704/037696489209.html)
  • 福島市:2026年1月28日〜2月25日の実証で、自己完結率60%、住民満足度82%、職員の90%がコア業務への集中時間増と回答(出典:https://www.dnp.co.jp/biz/case/detail/20178279_4968.html)

※上記はすべて第三者の公開事例であり、特定事業者の自社導入実績ではありません。

11. AIと有人対応を組み合わせた段階的な電話DX

AIと有人対応を組み合わせた段階的な電話DX

自治体の電話対応DXは、AIか人かの二択ではなく、AIに向く電話と人に向く電話を分けて進めるほうが現実的です。

AIに向いている電話

  • 担当課案内
  • 開庁時間
  • 必要書類
  • 手続き方法
  • よくある定型質問

人に向いている電話

  • 個別判断が必要な相談
  • 受電内容に応じて判別が必要な内容
  • 苦情対応
  • AIが聞き取れなかった内容
  • 複数制度が絡む複雑な問い合わせ

段階導入の進め方

1. 代表電話の取次ぎや一部FAQから始める

2. 対応履歴を見て、FAQや転送ルールを修正する

3. 対象部署や回答範囲を少しずつ広げる

4. 繁忙期や時間外対応も含めて見直す

AI×有人のハイブリッド対応は、派手さはないかもしれません。ただ、自治体の代表電話では、この進め方のほうが無理がありません。

自治体の代表電話業務に関する無料相談

現在の代表電話の着信件数、取次ぎ方法、繁忙期の集中状況をヒアリングしながら、

  • どこまでを自動化候補にできそうか
  • どこは人の対応を残すべきか
  • どの部署から始めると無理がないか

を整理する無料相談があると、比較検討が進めやすくなります。

無料相談はオンライン30分から受け付けています →

12. よくある質問(FAQ)

Q

自治体の電話対応DXとは何ですか?

A

代表電話の受付・回答・取次ぎをデジタル化し、AIボイスボットやIVRを活用しながら、必要に応じて職員や有人オペレーターへつなぐ取り組みです。

Q

既存の代表電話番号はそのまま使えますか?

A

構成によりますが、既存の代表番号を活かし、電話転送設定で導入できるケースはあります。

Q

AIが住民の話を聞き取れない場合はどうなりますか?

A

再度確認し、それでも難しい場合は有人オペレーターや担当部署へ転送する構成が現実的です。

Q

高齢者や方言のある住民にも対応できますか?

A

一定程度の対応は可能ですが、聞き取りが難しい場面はあります。再確認と有人連携が重要です。

Q

個人情報を話しても問題ありませんか?

A

録音データの保存期間、閲覧権限、削除方法、委託先の管理体制を事前に確認する必要があります。

Q

すべての電話をAIが対応するのですか?

A

いいえ。定型案内はAI、判断が難しい内容は人、という役割分担が現実的です。

Q

導入にはどれくらいの期間がかかりますか?

A

対象部署数やFAQ数によりますが、設定項目数によってはおおむね1か月以内を想定するケースもあります。

Q

導入前に自治体側で準備するものはありますか?

A

部署一覧、各課の番号、FAQ、転送ルール、繁忙期の傾向などを整理しておくと進めやすいです。

Q

AIボイスボットとIVRの違いは何ですか?

A

IVRは番号選択中心、AIボイスボットは住民の発話を聞き取って案内や振り分けを行う仕組みです。

13. まとめ

自治体の電話対応DXは、代表電話の受付・回答・取次ぎを整理し、住民の利便性と職員の負担軽減を両立する取り組みです。

この記事の要点

  • 自治体の電話対応DXは、代表電話の入口改善が中心
  • 代表電話の課題は、手作業の取次ぎ・業務中断・繁忙期集中・案内の属人化
  • 解決策は、AIボイスボット・IVR・有人対応の組み合わせ
  • いきなり全面導入ではなく、段階的に始めるほうが現実的
  • 導入後は、履歴を見ながらFAQや転送ルールを改善する運用が重要

自治体の電話対応は、住民にとって最初の接点です。つながりにくい、回される、待たされる。その小さな不便を減らすだけでも、印象はかなり変わります。電話DXは、その入口を整える取り組みとも言えそうです。

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